李氏朝鮮末期の凄惨


悪辣な両班、苛烈な搾取、

悲惨な貧困、極限的不潔、

未発達な社会、残虐な刑罰、

動物以下の女性の生活など、

外国人が見た人間業とは思えない

李氏朝鮮末期の実態

 

(韓国人はたった130~140年前の自国の歴史も知らない。歴代韓国大統領の末路を見ただけで、この国の指導者と国民の関係が如何なるものであったかが明確に見えてくる。) 

 


 

官吏の搾取―民衆を虫けらのごとくむしり取る(前項の「両班」と一部重複)

 

 

『朝鮮事情』(192

 

(強盗階級)

 

両班は、いたるところで、まるで支配者か暴君のごとくふるまっている。大両班は、金がなくなると、使いの者をおくって商人や農民を捕らえさせる。その者が手際よく金を出せば釈放されるが、出さない場合は、両班の家に連行されて投獄され、食物も与えられず、両班が要求する額を支払うまで笞打たれる。両班のなかで最も正直な人たちも、多かれ少なかれ自発的な借用の形で自分の窃盗行為を偽装するが、それに欺かれる者は誰もいない。なぜなら、両班たちが借用したものを返済したためしが、いまだかつて無いからである。彼らが農民から田畑や家を買うときも、ほとんどの場合、支払いなしで済ませてしまう。しかも、この強盗行為を阻止できる守令は、一人もいない。

 

 

『朝鮮雑記』(28)

 

(役人は公盗である)

 

 ある外国人が、韓人に向かって言うのには、「あなたの国の官人(役人)は、思うままに一般人民の財貨を奪い去っているようですが、これを見ると、官人はむしろ公盗(公人の盗賊)と称すべきものではないでしょうか。しかも、公の人間が国民を苦しめているのですから、私盗(一般の盗賊)よりずっと悪質というしかありません。それでは、どうして、このような官人を殺して、国家の害をとり除こうと考えないのですか」。

 

 まったくそのとおりで、私もそう思わないわけではないが、今の官人に盗賊でないものはいない。たとえ、一人の人間が自分の身を犠牲にして、一人の官人を殺すことができたとしても、そのあとを引き継いでやってくる官人が、また盗賊なのである。これでは、どうしようもない。ああ、彼らの境遇はまったく憐れむべきものである。

 

 

 

同(33

 

 慶尚道の草渓栗旨でのことだ。私が泊まっていた宿に、3、4人の官人が入ってきて、宿の主人を縛って連れ去ろうとした。これを見た村人たちが集まってきて、官人の前で頭を下げ、腰を屈めて、ひたすら主人のために赦免を請いつづけたが、官人は聞き入れようとせず、さらに騒いでいる。

 

 主人が、何事で、どういう罪を受けたのだろうかと、不思議に思いつつ様子を見守っていた。すると、宿の女房が、2貫文ばかりの銭を手にしてあらわれ、罪を謝した。そこで官人たちは、たちまち表情を和らげ、主人の縛りを解き、ニッコリとして銭を受けとると、立ち去っていった。

 

 のちに理由を聞いてみた。それによると、草渓郡守(地方の首長)がこのあたりを通行していたときに、宿の主人が、烟管(きせる)を口にしていたことが不遜だといって、あのように縛られたというのだ。女房が官人に捧げた2貫文は、じつに賄賂であった。

 

 

『朝鮮紀行』(558

 

(盗む側と盗まれる側)

 

改革があったにもかかわらず、朝鮮には階級がふたつしかない。盗む側と盗まれる側である。両班から登用された官僚階級は公認の吸血鬼であり、人口の5分の4をゆうに占める下人は文字通り「下の人間」で、吸血鬼に血を提供することをその存在理由とする。

 

 

『朝鮮紀行』(423

 

(生活給をもらわず、民衆を食いものにする)

 

私が徳川(大同江上流北朝鮮中部の町、引用者注)にいるときに郡守が任地に戻ってきて、人々はこのできごとにある程度関心を示した。雑卒が船着場付近の土手に並んで警笛を鳴らし、白服に黒い紗の上着をまとった40人の部下と23人の歌姫が輿に乗った郡守を出迎え、官庁まで輿といっしょに走る。数人の男たちが冷やかに見物していた。これほどさもしい随行団は考えられないほどだった。

 

 地方行政官のなかにはこういった従者を何百人も持つ者があり、その費用は疲弊したこの国が払うのである。当時はひとつの道(ド)に44人の地方行政官がおり、そのそれぞれに平均400人の部下がついていた。部下の仕事はもっぱら警察と税の取り立てで、その食事代だけをとってみても、一人に月2ドル、年に総額392400ドルかかる。総勢17600人のこの大集団は「生活給」をもらわず、究極的に食いものにされる以外なんの権利も特典もない農民から独自に「搾取」するのである。

 

 

 (ピンハネ、ピンハネ)

 

 その方法をわかりやすく説明するために、南部のある村を例にとってみる。電信柱を立てねばならなくなり、道知事は各戸に穴あき銭100枚を要求した。郡守はそれを200枚に、また郡守の雑卒が250枚に増やす。そして各戸が払った穴あき銭250枚のうち50枚を雑卒が、100枚を郡守が受け取り、知事は残りの100枚を本来この金を徴収した目的のために使うのである。こういった役得料を廃止し郡守を減給する勅令が最近発布された。徳川の庁舎の荒廃ぶりと一般民の住まいの不潔さとみすぼらしさは、まさにここに極まれりといったところだ。

 

 

『西洋人の見た朝鮮』(157

 

英国人牧師ロス『コリアの歴史』

 

(支配者層が被支配者層を搾取・収奪)

 

 ロスは、朝鮮の刑罰の厳しさ、とくに笞刑(ちけい)刑)常用つい指摘づいて、国中蔓延不正・腐敗指摘高位・下位官職市場価格」売買れ、法律を「搾り取方便利用てい批判た。文脈ロスよう表現ている。「小魚って小魚エビってエビ

 

 ここで注目すべき重要な単語は「搾り取る」である。それは搾取や収奪を意味するが、今後みていく西洋人の書物に繰り返し現れる。彼らは朝鮮を、官憲が民衆を、または支配者層が被支配者層を絶えず搾取し、収奪している国と見ている。

 

 

 

『西洋人の見た朝鮮』(208

 

フォーク『米国海軍将校フォークの日記』(188411月から南部を旅行し毎日日記をつけた)

 

(政府は収奪し、官吏は私腹を肥やす)

 

 これら以上に重要な観察は、朝鮮王朝の救いがたい腐敗ぶりであった。彼は115日の日記に、国民を力ずくで征服することで政府は維持されていると書き、1113日の日記には「官吏らは民衆を絞り上げている」―この表現はあちこちに見受けられる―、1114日には「政府は一人の巨大な強盗と化している」と記した。とくに彼は、地方の特産物を王室と中央政府に供出させる貢物制度を通じて、政府がいかに収奪を働いており、また官吏は官吏で、自分の私腹を肥やそうと貢物を巡って政府をどう騙しているかについても、詳細に記録した。彼はこの制度こそ、自身がこれまで聞いてきたなかで「最悪」であると断定し、地方官庁の役人らは民衆の膏血を絞り取っている最悪の組織だと非難した。